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久し振りです

何日ぶりの更新でしょう?;;
お待たせして、申し訳ありませんでした。
・・・と、言っても読んでくださっている方は
いらっしゃるのでしょうか・・・。
とりあえず!頑張ります。

兄妹糸6

「だから、希恵はあの女に嫉妬したって言うんでしょ?」
 勘のいい麻は、希恵の考えなど直ぐに予想がついた。
「……うん」
「で?」
「え?」
 戸惑っている希恵に、呆れたようにため息を吐いて言った。
「だからー、お前は俺を好きだって言って、それで終わりなの?」
「……」
「俺に、気持ち伝えて終わり?」
「……」
「俺に何かして欲しいんじゃないの?」
 麻の容赦ない質問攻めの果てに、希恵は小さく、しかし確かに頷いた。
「で?」
「え?」
 何度これを繰り返すのか。麻は希恵の反応を見て楽しんでいる。
希恵は、相変わらず戸惑ったままだが。
「だから、俺に何して欲しいの? 俺にどうして欲しいの?」
 希恵は答えられず、挙動不審に体をそわそわと動かして、目を泳がせている。
もう一度麻はため息を吐くと、希恵に止めを刺した。
「希恵は、俺がいつも女にしているような事、してほしいんだ?」
 先程とは、比べられない程に希恵は顔を紅潮させた。
例えるなら、熟した林檎とでもいおうか。
 麻は相変わらず、希恵を馬鹿にした目で笑っている。
「……うん」
「ははっ、そっか」
 耐え切れなかったのか、麻は希恵の頭を軽く叩きながら声に出して笑った。
しかし、希恵は益々顔を俯けてしまった。
「希恵ー、俺彼女いるんだよー。女じゃなくて」
「えっ!」
 希恵は麻に、不特定多数の女が居るのは嫌でも判っていたが、まさか特定の彼女が居るとは夢にも思わなかった。
それ故、驚いて再び顔を上げた。
 ――麻の嘘だとも気付かずに。
「そんでもいいの?」
「……うん、いいのっ。お兄ちゃんがそれでも、好きなのっ」
 吹っ切れたように、希恵は随分と大胆になった。――顔はまた俯けてしまったが。
 その彼女への罪悪感より、麻への重いが勝った瞬間だ。
 しかし、彼女が居るだとか居ないだとかの問題ではない。
二人は、兄妹だ。それに、二人は気付いているのか。
 ――気付いていない? 頭の良い麻でさえも?
「……そ、じゃあ2階行こっか」

兄妹糸5

 暫く希恵が上の空でテレビを見ていると、麻がドアを開けて脱衣所を出る音がした。
ボーっとしていた希恵もその音に反応し急に背筋を伸ばし、麻がリビングのドアを開ける頃には体を強張らせた。
 麻は、そんな希恵の様子に気付きながらも、そのままキッチンへ向かい冷凍庫を開けて何かを取り出してから希恵の隣に座った。
麻の手には、カップアイスが二つ。希恵が好きでいつも食べている物だった。
「アイス」
 そういって希恵に手渡すと、希恵は手だけを出してアイスとスプーンを受け取り、ぶっきら棒に、ありがとう、と顔を俯けて言った。
 それから、妙な沈黙が流れた。リビングに響くのは、喧しいテレビの音だけ。
麻がリモコンを持ちテレビを消すと、愈々リビングは誰も居ないかのように静かになった。
「……訊きたいことあんだけど」
 そう切り出したのは麻。何時に無く真面目な顔だ。希恵は、返事の代わりに黙って頷いた。
「……じゃあ言うけど、今日女が居る時何であんな怒ったわけ?」
「……」
「いっつも、何も言わないじゃん」
 口調は、大丈夫。まだ、柔らかい。なら、言ってしまおうか。
“好き”だと。麻が好きだと。そんな思いが希恵の頭を巡る。
「おい、聞いてんの?」
 だが、言った先が見えない。二人の関係はどうなる――?
そう思うと言えない。だが、希恵はもう我慢する事が出来なかった。
 そして、遂に決心すると大きく深呼吸をして言った。
「……あたしは……」
「うん」
「……お兄ちゃんが……」
「うん」
 それから先が言えなくなり、希恵は俯いたままアイスを黙々と食べ始めた。
言葉が詰まって先が言えない。心を決めようと、もう一度深呼吸すると、希恵の中で何かが切れた。
「……あたしはっ、お兄ちゃんが好きなの!」
 顔を紅潮させて、半ば自棄になって言った。
俯いたままの希恵には、今麻がどんな顔をしているかなど見える筈も無い。
「……で?」
「え?」
 驚いて希恵は顔を上げたが、麻の顔を見ると再び俯いてしまった。
 希恵はこれ程までの思いを伝えたというのに、そんな言葉がが返ってくるとは夢にも思わなかったのだろう。

兄妹糸4

『あっ、そっか。お前も女だったんだ』
 そもそも、何故麻はこんな一言を発する程、希恵を妹とさえも思っていなかったのか――。
原因は麻にもあるが、希恵にも原因があったのだ。
それは、希恵も薄々気付いていた。自分にも、原因がある――と。
その原因とは――。
「希恵ー。そういやさあ、今日の女さー――」
「……うん」
 今日も始まるこの会話。この会話こそ、麻が希恵を妹とさえ思わない、いや思えない最大の要因といえよう。
 そう、麻は女と行為をする度、その晩に行為をした女の感想だとかを希恵に話すのだ。
希恵も止めるよう言えばいいのだが、希恵もその手の話は嫌いでは無い。むしろ好きだ。
その為堪らず、その話題に乗ってしまうのだ。
会話だけ聞けば、男同士や兄弟の会話だ。
 しかし、今日の希恵はさすがにその話題には耐え切れなかったのか、適当に相槌だけを打って料理に集中しようとした。
麻が何気なく始めたこの会話。いつもなら、食いついてくる希恵は唯相槌を打つだけ。

余計に二人の間に気まずい空気だけが流れた。

一度、麻が取り繕うとした空間も虚しく、意味が無いものとなってしまった。
 希恵は手馴れた様子で料理を作り終えると麻に出来たとだけ声を掛け、出来た夕飯を二人でとった。
いつもなら、楽しく喋っている二人だが今日は希恵が気まずそうな顔をしていたので麻も話し掛け難くなり、黙って食事を終えた。
 その後も、希恵は麻に近寄ろうとせず、腹を休めるとすぐに風呂に入った。
風呂から上がり、希恵は思い切って麻に声を掛けた。
このまま、自分が作り出した気まずい空間に居るのは耐え切れなかったのだ。
「お……あっ……あの、お兄ちゃん! お風呂いいよ!」
「おー。ありがとな」
 出来るだけ、希恵は明るい声で言うと麻は笑って返してくれた。
希恵はホッと胸を撫で下ろし、自分の顔が無意識に綻んだのが分かった。
 麻がリビングを出て行くと、希恵はソファに座りテレビを点けた。
 希恵はボーっとテレビを見ながら、この上辺だけの明るい空間を如何にかしなければと思い、麻に今日怒ったことを謝る事にした。
 一方麻も、風呂に浸かりながら何かを思い、希恵はリビングで、麻は風呂場で、大きく、深いため息を吐いた。

兄妹糸3

 部屋に戻り希恵は、ベッドの上に膝を抱えて座った。
「あー。あそこまでムキになることなかったなー。自分みっともなっ……。」 
 そういうと、涙が堰を切ったように溢れ出した。
希恵は先程の自分の行動に、今更後悔しているようだ。
涙は頬を滑ってシーツに落ち、染みとなった。その染みをそっと撫でる。
「っていうか、勉強なんかしてないんだけどね。ははっ」
 希恵の笑い声は、部屋に虚しく響いて消えた。
笑うことで、自分の気持ちを無理に誤魔化そうとした。
 希恵は膝を抱えたままコロンと横になると、いつの間にか眠りについてしまった。
 
 気が付くと、辺りはもう薄暗くなっていた。まるで、今の希恵の心を反映しているかのようだった。
「あっ、やばっ。いつの間に寝てたんだろーっ?」
 希恵は、ベッドに寝転んだまま背伸びをすると顔だけを擡げ、壁掛け時計を見た。
時計は既に、6時を回っており希恵の眠気を一気に吹き飛ばした。
「もうこんな時間っ? 早く夕飯作んなきゃ!」
 勢い良く起き上がると、カーテンを乱暴に閉め、慌ただしく部屋を出て階段を駆け下りていった。
 希恵と麻の両親は、自営業のため夜遅くなることが多く、希恵と麻が協力して家の家事を行っていた。
とは言っても、ほとんどは希恵が行っているのだが。
 1階に下り、そのままリビングに入ろうとしたが、あの女の存在が気になり玄関へ向かった。
靴を調べると、あの女が履いているだろうローファーは無かった。
無かったというよりも、見当たらなかった。
それでも、希恵はホッとしたようにため息を吐いた。
「はー……。良かった……」
 先程よりも軽くなった足取りでリビングへ向かう。
希恵はリビングに入ろうとドアの部に手を掛けようとした。
 しかし、麻に切れた事を思い出した。
入った瞬間、気まずい雰囲気が流れるかと思うと、なかなか入る事が出来ない。
「……希恵? 飯作ってー。俺腹減った」
 希恵に気付いた麻は、入って来ない希恵に声を掛けた。
希恵は、麻の気遣いが嬉しくて、元気良い返事と共にリビングに入った。
「……うっ、うん! 今作る!」
「おいしいの作ってね」
「何そのおねえ言葉っ」
 麻は、気まずそうな希恵を笑わそうとした。
希恵は、面白かったというよりも麻の気遣いが嬉しくて笑った。
 希恵は、リビングに繋がるキッチンへ向かい嬉しそうに微笑んで、だが少し悲しそうに呟いた。
「……お兄ちゃん、やっぱり好きだよ。……ごめんね」

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